1984 年 37 巻 12 号 p. 2506-2518
Cefmenoxime (塩酸セフメノキシム, CMX, ベストコール®) は武田薬品中央研究所で開発された新しい抗生物質で, Cefotiam (CTM) にsyn-Methoxyimino基を付加することにより, 抗菌力, 抗菌スベクトラムが増強され, より高いβ-Lactamase安定性を持つものである1)。本剤の抗菌力はstreptococcus pneumoniaeのほかEscherichia coli, Citrbacter, Klebsiella, Enterobacter, Serratia, Proteus, 更に, Cephem系抗生物質の弱点であるHaemophilus influenzaeに対しても抗菌力が強められ, Bacteroides fragilisにも有効である2)。すなわちグラム陽性菌からグラム陰性桿菌に至るまで幅広い抗菌スペクトラムを有するので, 基礎疾患として造血器腫瘍など血液疾患を持つ疾病の感染症, いわゆるCompromised hostにおける感染症に対して有効であると思われる。今回, 私どもは血液疾患及び呼吸器疾患に伴う感染症を中心に, 本剤の有用性を検討したので, その臨床的効果をここに報告する。