The Japanese Journal of Antibiotics
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産婦人科領域におけるSulbactam/Cefoperazoneの臨床的検討
小幡 功劉 福勝今川 信行落合 和彦小池 清彦森本 紀蜂屋 祥一
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1984 年 37 巻 12 号 p. 2478-2494

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抄録

今日の産婦人科領域の感染症の治療にはBroad spectrumな抗菌力を有し, 作用機構からも比較的安全性が認められているβ-Lactam系抗生物質が, 主として選択されている。しかし, β-Lactam荊も使用頻度, 使用量の増加に伴い他抗菌剤と同様に耐性菌の出現を惹起し, 治療上重要な問題の1つとなりつつある1)。そこで, β-Lactam剤の耐性機構がβ-Lactamaseによる加水分解や結合による不活性化によるため, これら耐性菌用薬剤としてβ-Lactamaseに安定なCephalosporin系, Cephem系抗生物質の開発を指向する一方で, 既存のβ-Lactam剤と同時に使用してβ-Lactamaseを不活性化するβ-Lactamase inhibitorの研究が行われている2)。
Sulbactam (SBT) はPfizer社Groton研究所で開発され, 1977年W. E. BARTHらにより報告されたFused β-lactam環を有する新しいβ-Lactamase inbibitorである3)(Fig. 1)。本剤の抗菌力はNeisseria gonorrhoeae, Acinetobacter calcoaceticus以外は弱く, β-Lactamaseを不可逆的に阻害し, Clavulanic acidに比べて安定性が高い特性を有する4)。SBTに配合する各種β-Lactam系抗生物質について, in vitro及びin vivoで検討した結果, グラム陽性菌からPseudomonas属を含むグラム陰性菌まで広い抗菌域を有するCephem系抗生物質Cefoperazone (CPZ) との1: 1の配合が適当と考えられた5)(Fig. 2)。その結果SBT/CPZ配合による抗菌力はStaphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Proteus morganii, Bacteroides fragilisに対して顕著な併用効果が認められた6)。
今回, 著者らは台糖ファイザー社からSBT/CPZの提供を受け, 婦人科感染症症例に投与し, その臨床有効性及び安全性について検討したので, その成績について報告する。

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