The Japanese Journal of Antibiotics
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血中有効濃度を得るためのセフスロジン投与量設定へのアプローチ
昭和及び和光1濃度ディスク感受性結果の比較とMIC概値推定への定量的利用の信頼性から
植手 鉄男松尾 清光
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1984 年 37 巻 9 号 p. 1652-1660

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抄録

セフスロジン(CFS)は緑膿菌, 黄色ブドウ球菌にだけ強い抗菌力を示すユニークな特性を有するセファロスポリン系抗生剤である1~16)。CFSの緑膿菌への抗菌力は各種市販セファロスポリン系抗生剤中比較的強力なものの1つであり, in vitroの抗菌力はゲンタマイシン(GM)に匹敵すると報告されている1, 2)。CFSとアミノグリコシッド系抗生剤の併用は緑膿菌に対し, 相乗的に抗菌効果の増強を示す17~20)。
実験的緑膿菌性肺炎の治療においてアミノグリコシッド系抗生剤がCFSより効果的との報告があるが21), アミノグリコシッド系抗生剤の効果のない嫌気的条件下での緑膿菌感染にCFSはGMより効果的である22)。それ故,本薬剤の臨床利用の価値は大と考えられる。
本研究においては, CFSのより適確な臨床利用, すなわち有効で適切な血中濃度を得るための投与量あるいは投与方法設定へのアプローチとして, 本薬剤の原因菌への抗菌力を基礎に投与量を設定するためディスク感受性結果の定量的利用の信頼性を検討した。
さきに, われわれはセフォチアムディスク感受性23)及びセフメノキシム(CMX)ディスク感受性24)試験結果が最小発育阻止濃度(MIC)概値推定への利用において信頼性のあること, 又, これら薬剤の血中有効濃度を得るためにディスク感受性結果の利用の有益なことを報告した。今回これらの研究に続けて, 臨床分離菌特に緑膿菌, 黄色ブドウ球菌を用い, 8mm直径-30μg CFS含有1濃度昭和ディスクと6mm直径-30μg CFS含有和光1濃度ディスクの阻止円直径の大きさを同時に測定し, MIC実測値と阻止円直径の大きさによる感受性成績との関係を評価した。加えて, CFSの薬動力学的血中濃度所見から, CFSの感受性ディスク試験結果を投与量設定あるいは評価へ定量的に利用できるかどうかの考察を行った。

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