The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefbtetanの臨床的検討
南谷 幹夫八森 啓南川 逸雄
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1983 年 36 巻 6 号 p. 1233-1242

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抄録

Cefbtetan1)(CTT) は山之内製薬中央研究所で開発された新しいCephamycin系抗生物質で, その分子式 (分子量)はC17H15N7Na2O8S4(619.57), 化学名はDisodium(6R, 7S)-7-[[4-(carbamoylcarboxylatomothylene)-1, 3-dithietan-2-yl] carboxamido1-7-methoxy-3-[[(1-methyl-1H-tetrazol-5-yl)thio]methyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylateで, Fig. 1に示すような構造式を持ち, 白色ないし淡黄色の粉末で水に易溶性である。
本剤の特徴として従来のCephamycin系抗生物質 (Cefoxitin (CFX), Cefmetazole (CMZ))に比べ, インドール陽性Proteus, Citrobacter, Enterobacter, Serratiaなどのグラム陰性菌に対し特に優れた抗菌活性を示し, 各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対し極めて安定性を有する1)ほか, 血中濃Fig.1. Chemical structure of cefotetan disodium度の持続時間が長く, ヒトに静注した時の血中半減期が約3時間2)と, 従来のCephalosporin系抗生物質のなかで最も長い持続性を有することがあげられ, 又体内で代謝を受けず, 抗菌活性を維持したまま尿中に高濃度に排泄される2)。
すでに本剤の毒性試験, 一般薬理試験, 安全性試験などは確認され, 1979年来成人領域における基礎的臨床的研究が組織的にすすめられ, 第28回日本化学療法学会西日本支部総会3)で発表された。成人領域においては1,365例に使用し, 1,261例の解析対象例数から内科系有効率75.3%, 外科系有効率69.8%であつたとしている。
その後, 本剤の幼若動物における毒性試験, 生体内動態, ビリルピン結合能, 胎仔内移行, 乳汁移行及び体内分布の状態などが確認されたので, 小児科領域における本剤の臨床的治験検討がすすめられることになり, われわれも本剤を使用する機会を得たので, その吸収, 臨床効果並びに副作用について報告する。

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