The Japanese Journal of Antibiotics
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耳鼻咽喉科領域感染症に対するCefsulodinの臨床的研究
佐竹 敬一長舩 宏隆小島 幸枝鵜木 秀太郎小松崎 篤
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1982 年 35 巻 12 号 p. 2839-2843

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抄録

最近の感染病巣からの分離菌は, 化膿性球菌と並んでPseudomonas aeruginosa, Klebsiella pneumoniae, Proteusgroup, Escherichia coli及びSerratiaなどのグラム陰性桿菌が検出され, 多種多様となつてきていることについて多くの報告1~4) があり, その中でも難治性感染症の代表的起炎菌としてP.aeruginosaがクローズァップされている。
耳鼻咽喉科領域における感染症, 特に中耳に基礎疾患を有する慢性化膿性中耳炎の耳漏検査においてもしぼしば検出される5~7)。
近年, 抗緑膿菌抗生剤の登場が続いているが, ここに報告するCefsulodin (CFS) は, セフェム系ではじめて緑膿菌に対する強い抗菌作用を示すばかりでなく, アミノ配糖体系抗生物質耐性のP. aeruginosaにも抗菌力を発揮し, 更に従来アミノ配糖体系抗生物質にみられた聴器毒性のないこととあわせ当科領域にとつては魅力がある薬剤と言える。
今回われわれは武田薬品工業株式会社で創製された新しいセファロスポリン系抗生物質であるCFSを慢性化膿性中耳感染症, 術後創部感染症に使用する機会を得たのでその臨床成績を若干の考按と共に報告する。

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