The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefamandole sodiumの髄液中移行に関する実験的研究
小林 裕森川 嘉郎春田 恒和藤原 徹
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1979 年 32 巻 9 号 p. 905-911

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抄録

化膿性髄膜炎は, 現在でも難治の疾患で, 比較的予後良好な年長児の髄膜炎でも, 約10%の死亡, 10~20%の重大な後遺症を免れ得ない1)。 したがつて, よりよい化学療法を常に追及し続ける必要があり, 特に現在主用されているAmpicillin (ABPC) に対する各種細菌の耐性株の増加は, その必要性をますます高めているといえよう。
Cefamandoleは, 従来のCephalosporin剤 (CEPs) と比較して, 抗菌力が改善され, 拡大しており, 特に年長児化膿性髄膜炎起炎菌の主役であるHaemophilus influenzaeに対してABPCに近似する抗菌力を示し, ABPC耐性株にも有効であるといわれる2)。 したがつて, 本剤が髄膜炎に適用可能であるとすれば, 現在問題になつてきているABPC耐性H.influenzaeによる髄膜炎の治療に曙光を投げかけることとなろう。 しかし, 本症は一たん治療に失敗すると重大な後遺症を招くことから, 軽々しく試用することは許されず, また人体において継時的に髄液を頻回採取することはほとんど不可能なので, その髄液中での動態から効果を予見することもできないことから, まず家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎を用いて髄液中移行を検討し, 手掛を得ようと試みた。

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