The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域における Bacampicillin 細粒の使用成績
南谷 幹夫中沢 秀夫八森 啓友利 典子
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1979 年 32 巻 4 号 p. 535-540

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抄録

Ampicillin (ABPC) は, 細菌感染症に対し最も繁用される抗生物質の1っであるが, これを経口投与したばあい, 吸収はあまり良好ではない。Bacampicillin (BAPC) は, スウェーデン・アストラ社によって開発されたABPC のエステル化合物である。 BAPCは, 酸に対し安定で, かっ脂溶性が高いから, 経口投与により小腸からエステル型のままよく吸収され, 直ちに腸壁の Nonspecific esterase によつて加水分解をうけてABPCを遊離する。本剤の抗菌作用は, ABPCと同じであるが, 血中濃度はABPCにくらべ2~3倍高く, かつピークに達する時間も30~60分と, きわめて早いのが特徴である。BAPCの急性・慢性毒性, 一般薬理作用, 特殊毒性などが検討されたが, その安全性は, きわめて高い。欧米諸国では, すでに臨床的に使用され1~5), わが国でも1976年来, 研究会によって本剤の基礎的・臨床的検討が続けられ, 第25回日本化学療法学会西日本支部総会 (昭和52年12月8日) で新薬シンポジウム6)としてとり上げられ, 臨床的に安全かつ有効であることがみとめられた。
今回, 私たちは, 小児用製剤としてBAPC細粒 (ABPC として100mg/g) を各種小児感染症に治験使用する機会を得たので, ここにその成績を報告する。

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