The Japanese Journal of Antibiotics
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尿路感染症におけるMinocycline (Minomycin ‘Lederle Japan’) 小量投与法の検討
斎藤 豊一ウン シータン
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1979 年 32 巻 11 号 p. 1183-1188

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抄録

Minocycline (MINO) は, 米国レダリー研究所で開発されたTetracycline (TC) の誘導体であり, Fig一1に示す化学構造をもつている。MINOは, ブドウ球菌に対して殺菌的作用を示し, 耐性ブドウ球菌をはじめとするグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対し広範な抗菌作用をもつことが知られている1~3)。
MINOは, 構造上TCとわずかな相違があるにすぎないが(Fig.1), TCに比較して, 種々の臨床上の優れた特長をもつていることがAUENの最近の研究で明らかにされている4)。MINOは, すでに内服剤および点滴静注用製剤として各種感染症に広く用いられ優れた治療効果をおさめているが, 一方にやいて, MINOを服用した患者において「めまい」などの前庭器症状 (Vestibular symptoms) の発現が高い頻度でみとめられるという報告を, 最近多く目にするようになつた5~9)。この症状は女性患者に多くみられ10), しかも用量依存的である11) との指摘がなされている。
今回我々は, MINOの効果を減ずることなく「めまい」などの副作用症状を少なくすることが可能かどうかを検討する目的で, 初回に100~200mgを投与し, 以後12時間ごとあるいは24時間ごとに100mgずつ投与という従来のカプセル剤の投与法に代え, 1回50mg1日3回経口投与の方法を試みた。この投与法を用い, 急性尿路感染症の患者にMINOの50mgカプセル製剤 (日本レダリー社提供) を投与し, 良好な成績を得たので, その概要を以下に報告する。

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