The Japanese Journal of Antibiotics
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担癌マウスのマクロファージ遊走阻止試験に及ぼすSchizophyllanの影響
小松 信彦家原 博昭南雲 昇
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1972 年 25 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

担子菌Schizophyllum commune (和名スエヒロタケ) の培養液中に産生される粘性グルカンSchizophyllan1, 2) が数種の実験的皮下移植腫瘍に対して宿主仲介性抗腫瘍作用を発揮することについては, すでに報告した3, 4)。Schizophyllan の宿主に及ぼす影響について目下研究中であるが, それは主として生体の網内系細胞を刺激して, その異物清掃作用やマクロファージの捕食作用と酵素活性を増強させ, 細胞性免疫の成立を修飾し促進するであろうと考えられる。
ところで, マクロファージ遊走阻止試験はッベルクリン反応のような遅発型アレルギー反応の存否のin vitro試験法5~8) として開発されたもので, 移植免疫, 腫瘍特異免疫, ある種の細菌感染症や真菌感染症の細胞性免疫の成立と密接な平行関係があることが知られている。
我々は今回, Sarcoma 37の細胞を皮下移植したマウスにSchizophyllanを注射したのち, Schizophyllan治療マウスと無処置マウスにおけるマクロファージ遊離阻止試験の結果を比較して, Schizophyllan治療マウスのほうがマクロファージ遊走阻止が著明であることをみとめたので, ここに報告する次第である。

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