1967 年 41 巻 4 号 p. 152-157
1964年から1965年の間に, 福島県の主として20才以下の住民360を対象として血清を採取し, アデノウイルス3型に対する中和抗体を定量的に測定し, 抗体保有状況を年令別, 年度別に比較検討した.その結果, 次の所見をえた.
1.福島県での抗体保有率は, 3才から15才のも間に徐々に上昇し, 15才までには80%のものが抗体産生能を獲得していた.
2.特に, 学童期の抗体保有率の上昇が激しかつた.又, 学童期前の抗体保有率は, 岡山, 東京, よりかなり低くかつた.
3.抗体保有率には地域差がかなりみられた.低年令層にはある程度の年度差がみられた.
4.抗体保有率の上昇の激しい年令層は概して高い抗体価を示し, 16才以上では, 高い抗体価を示すものが少なかつた.