日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第47回日本家庭科教育学会大会
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第47回大会口頭発表
家庭生活についての全国調査東北データの分析(第5報)
-生活向上意欲、家庭科学習効果の認知と問題解決意欲-
*黒川 衣代中屋 紀子渡瀬 典子日景 弥生高木 直長澤 由喜子砂上 史子浜島 京子
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p. 4

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抄録

<目的>日本家庭科教育学会が2001年に実施した「家庭生活についての調査」について、東北地区では、地区の特徴を明確にし、今後の家庭科教育に生かすことを目的としてデータを分析してきた(第4報までは口頭発表済み)。本報では、家庭科学習の到達目標の一つとされる「問12(問題解決への意欲)」に「問4-2・問4-4(生活向上意欲)」と「問11(家庭科学習効果の認知)」が関連していると考え、それを検証することを目的とする。
<方法>東北地区データの内、家庭科を学習していない小4を除く3,411名を分析対象とした(小6-1,063名、中2-992名、高2-1,356名)。<分析の手続き>問4-2-1~9(「もっとじょうずにできるようになりたいと思うこと」)と、問4-4-1~9(「もっとすすんでできるようになりたいと思うこと」)を合わせた18項目のうち、○をつけた項目の数を「生活向上意欲」とする。問11-ア~エの4項目(「家庭科で学習してできる・わかる・気づく・考えるようになったこと」)、問12-ア~ケの9項目(「これからの生活で有効な問題解決手段の大切にしたい程度」)については、それぞれを因子分析したところ、1因子構造であると判明したため、それぞれ全項目から成り立つ加算尺度として使用することとした。得点化は各項目ごとに、選択肢に応じて1点~4点を与え、数値が大きくなるほど認知度や意欲が高くなるようにし、質問内容から総得点は「家庭科学習効果の認知」、「問題解決への意欲」を表すとした。「家庭科学習効果の認知」、「問題解決への意欲」それぞれのクロンバッハのα係数は、0.85、0.80であった。
<結果>1.「生活向上意欲」「家庭科学習効果の認知」「問題解決への意欲」の学年×性別による比較学年×性別による6グループの平均点比較のために、一元配置の分散分析、多重比較を行った結果、
(1)「生活向上意欲」は、高-男子・中-男子<高-女子・中-女子<小-男子<小-女子、
(2)「家庭科学習効果の認知」は、高-男子・中-男子<小-男子・中-女子・高-女子<小-女子、
(3)「問題解決への意欲」は、中-男子・小-男子<中-女子<高-男子・小-女子<高-女子であった。学年差、性差が認められ、「生活向上意欲」「家庭科学習効果の認知」は概ね、学年が低いほど、また男子よりは女子の方が高しかし、「問題解決への意欲」は男女とも中学段階で低くなっている。

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© 2004 日本家庭科教育学会
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