日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第47回日本家庭科教育学会大会
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第47回大会口頭発表
児童・生徒の家事参加の状況および父親の家事参加との関連についての検討
*蟹江 教子
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p. 2

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抄録

<目的>既婚女性の社会進出に伴い、家庭内における夫と妻の役割分業についての関心が高まっている。家事分担・遂行については、既にイデオロギー、資源A時間の利用可能性などによって説明されることが、明らかであるが、家庭内における性別役割分業の再生産という視点から、近年、父親の家事参加と子どものそれとの関連についての関心も高まっている。欧米における先行研究では、Modeling仮説、Competition仮説のいずれを支持する研究も示されているが、わが国では、Modeling仮説を支持する研究がみられるものの、研究蓄積が少なく、子どもの発達段階を考慮した研究は乏しい。 そこで、本研究では、児童kの家事参加度が発達により変化するかどうかを明らかにした上で、父親の家事参加の影響との関連について検討する。
<方法>データ:日本家庭科教育学会が、2001年9月に実施した「家庭生活についての全国調査」を用いた。分析対象:本研究では、上記調査対象者のうち、?両親と一緒に暮らしていること、?該当項目に回答していること、の2条件を満たす児童・生徒8,657名(小4男子965名、小4女子913名、小6男子946名、小6女子911名、中2男子1,138名、中2女子1,100名、高2男子1,009名、高2女子1,383名)を分析の対象とした。分析に用いた変数:衣食住の技能の実態(18項目について「いつもする」「ときどきする」「あまりしない」「しない」の4段階で回答)を因子分析した結果から、一般的な家事を示す2因子(「食事づくり」(3項目)、「食器と衣服の手入れ」(4項目)を、児童kの家事参加度とした。父親については、「家族の食事の準備」(「毎日する」「どきどきする」「たまにする」「全くしない」の4段階で回答)を用いた。 なお、子どもの家事参加は、家族や家庭の状況に影響されると考えられるため、「家族形態」「兄姉の有無」「弟妹の有無」「母親の就労の有無」を制御変数として用いた。
<結果>se性別、学年別に児童kの家事参加度をみると、男子よりも女子のほうが高い。また、男子では、「食事づくり」「食器と衣類の手入れ」ともに、高校2年生になると、低下を示している。女子では、「食事づくり」は、学年によって大きな違いはみられないが、「食器と衣類の手入れ」は、学年が高いほど、行うようになる。児童・生徒の家事参加度と父親の家事参加度との関連を、「家族形態」「兄姉の有無」「弟妹の有無」「母親の就労の有無」を制御した偏相関係数でみてみると、学年に関係なく、男子、女子ともに正の相関が認められた。また、その値は、女子よりも男子のほうが高く、男子のほうが父親の家事参加の影響を、より強く受けていることが明らかになった。なお、(2次分析)にあたり、日本家庭科教育学会「家庭生活についての全国調査」(科学研究費基盤研究(A)(1)課題番号13308005)の個票データの提供を受けました。

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© 2004 日本家庭科教育学会
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