カウンセリング研究
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幼児用不安傾向評定尺度の作成
―不安傾向と社会的スキルならびに問題行動との関連の検討―
西澤 千枝美濱口 佳和
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2010 年 43 巻 2 号 p. 150-160

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抄録

本研究の目的は,不安障害の分類に従い幼児の不安傾向を多次元的にとらえることのできる尺度を作成すること,および幼児の不安傾向と社会的スキルならびに問題行動との関連を明らかにすることであった。幼稚園・保育所に在籍する3~6歳の子ども551名の保護者に対し,作成した幼児用不安傾向評定尺度と,幼児版社会的スキル尺度(渡邊ら,1999)に回答を求めた。探索的因子分析(主因子法,プロマックス回転)の結果,「社会不安」「分離不安」「特定の恐怖」「全般性不安」の4因子30項目からなる幼児用不安傾向評定尺度が作成され,その信頼性・妥当性が検討された。次に,重回帰分析を行った結果,「社会不安」「分離不安」は,総じて社会的スキル,特に「社会的働きかけスキル」の遂行には抑制的に,また「引っ込み思案行動」の表出には促進的に機能することが明らかになった。また,「分離不安」は,外在化された問題行動の表出に促進的に機能することも示された。さらに,「全般性不安」は,「引っ込み思案行動」の表出に促進的に機能するのみならず,「規律性スキル」「適切な主張スキル」の遂行を促進することも明らかになった。

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© 2010 日本カウンセリング学会
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