日本液晶学会討論会講演予稿集
Online ISSN : 2432-5988
Print ISSN : 1880-3490
ISSN-L : 1880-3490
2013年 日本液晶学会討論会
セッションID: 3a11
会議情報

3a11 Slippyな相境界を持つSmC*の電場応答(ソフトマター,口頭発表,2013年日本液晶学会討論会)
*山本 潤西山 伊佐
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

我々は当初、垂直配向でらせん構造を保持したSmC*相に、IPS用電極(10μmピッチ)を用いて、層平行方向の電場に対する電気光学応答挙動(DH-FLCモード)を調べていた。この過程で、SmC*相の電気光学応答は、一様にホメオトロピック(垂直)配向した状態では高い〓値特性を示すが、一旦高電圧を印加して電極エッジに層配向の乱れが生じると、低電圧でも容易に配向回転が誘起され〓値電圧が低下することを不思議に思った。そこで我々は、層平行方向の「構造」の存在と、その「構造」とSmC*相との界面の間が「Slippyな界面」として振舞うことが、電気光学応答特性に重要な関係があることに気がついた。ただし一般的には、層平行な方向は層が連続的に存在し、構造がない状態が最良と考えてられている。ここでは、Slippyな界面を、液晶セル内に積極的に設計して実現する方法には様々な方法があり、界面を生成するための共存相にも、様々な状態を考えることができる。本報告では、その1 つの方法として巨視的な相分離と電極へのぬれ現象(界面を隠蔽するため)を用いたプロセスを提唱し、Slippyな界面の導入による〓値低減効果を実証し、かつ、その物理的なメカニズムを説明する。特に、Slippyな界面を適切に試料内に生成・配置するためのプロセスとして2つの方法を紹介する。(1)Azo色素分子を溶媒分子とし、UV誘起相分離により誘起される液体相分離ドメインと、(2)極性の強い溶媒を用いて、コレステリック(Ch)-SmC*の1 次相転移により誘起される液体相分離ドメインである。これにより、SmC*相の実用化に、ある種のブレークスルー原理を提供できることを期待している。

著者関連情報
© 2013 日本液晶学会
前の記事 次の記事
feedback
Top