日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第64回日本衛生動物学会大会
セッションID: B14
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第64回日本衛生動物学会大会
タバコシバンムシLasioderma serricorneとマイコトキシン産生真菌の関係
*橋本 一浩川上 裕司横山 耕治陰地 義樹浅野 勝佳内田 明彦
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抄録

タバコシバンムシからAspergillus ochraceusが高頻度に分離されること,また,分離菌株が高いオクラトキシンA(OTA)産生能を有することをこれまでに報告してきた.今回,シバンムシおよび周辺環境から同時にA.ochraceusを分離して,両分離株の比較を行った.一般住宅 2軒でシバンムシの捕獲を行い,さらに住宅中の空中浮遊真菌,庭土壌中の真菌の分離を試みて,計60株のA.ochraceusを得た(シバンムシ分離:39株,空中分離:16株,土壌分離:5株).これらの菌株のOTA産生量を定量し,また,ミトコンドリアCytb遺伝子および26SrRNA遺伝子D1/D2領域の解析を行いDNAタイプを調べた.結果,A.ochraceus60株のうちOTAが検出されたのは46株(76.7%)であった.また,多量のOTAを産生するA.ochraceusは,AO-4(ミトコンドリア Cytb遺伝子による分類),D1D2-2および D1D2-3(26SrRNA遺伝子D1/D2領域による分類)に属し,多くがこれらのタイプに分類されることが明らかとなった.AO-4の平均OTA量はシバンムシ分離株が1564μg/5g,空中分離株が2276μg/5g,土壌分離株は1916μg/5gであり,シバンムシ分離株は環境分離株に比べ,OTA産生量が低い傾向にあった.

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© 2012 日本衛生動物学会
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