日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第59回日本衛生動物学会大会
セッションID: B02
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三重県志摩半島のリケッチア感染症:日本紅斑熱の症例
*坂部 茂俊谷村 忍辻 幸太藤田 博巳山本 正悟堤 寛安藤 勝彦鎮西 康雄
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抄録

 ここ数年三重県志摩半島の朝熊ケ岳周辺地域でリケッチア感染症が増加傾向にあるが,伊勢市の山田赤十字病院(以下当院)でもここ4年間で19例のリケッチア感染患者を看てきた。2006年夏から秋にかけては8例のリケッチア感染症を疑う症例を経験した。うち4例(1例死亡)は日本紅斑熱であることが確認された。これらの確定診断がついた4例について報告する。
(症例1)84歳男性。伊勢市在住。2006年9月2日より嘔吐があり、9月3日午後より39度台の発熱が出現した。当院救急外来を受診し、ツツガムシ病、日本紅斑熱などのリケッチア感染症を疑われ入院となった。 体幹、四肢に掻痒感、疼痛を伴わない紅斑あり。紅斑は体幹>四肢。手掌紅斑あり。左頸部後面にムシの刺し口あり。表在リンパ節触知せず。口腔、咽頭、頸部に異常所見なし。心音、呼吸音正常。腹部平坦かつ軟。 肝脾腫明らかでない。検査結果は、急性期血液中 Rickettsia japonica PCR: 陰性、急性期血清中 R.japonica  IgM抗体IgG抗体:10倍未満、回復期血清中 R.japonica IgM抗体:80倍 IgG抗体:320倍、皮膚 R.japonica抗原:陽性。これによって日本紅斑熱と確定診断ができた。発症1週間程前伊勢神宮林内で作業を行っており、この時ダニに刺された可能性が高い。
(症例2)70歳男性(症例3:死亡例)65歳女性(症例4)29歳女性については,ペア血清抗体陽性または PCRで病原体検出陽性により日本紅斑熱と診断した。詳細については口頭で述べる。 研究協力者:伊勢保健所、福井大学医学部の関係各位および馬原文彦氏

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© 2007 日本衛生動物学会
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