主催: 日本医真菌学会
病原真菌Candida glabrataは、近年増加しつつあるnon-albicans yeast の代表的な菌種として知られるようになってきた。特に臨床で頻用されるfluconazole に低感受性を示すことから、予防投与の網をかいくぐって臨床での分離頻度が上昇する危険性も秘めている。 我々はこれまでC. albicansを用いて酸化ストレス応答、とりわけカタラーゼの挙動を検討してきた。これまでに得ているC. albicansについての過酸化水素耐性と比較するため、C. glabrataを用いて過酸化水素耐性を検討した。その結果、C. albicansでは100 mM 1 時間処理により90% 以上の細胞が死滅し2時間後には完全に死滅するのに対し、C. glabrataでは1時間ではほとんど無処理と変化がなく2時間処理でも90% 前後の細胞が生存していることを見いだした。またC. glabrataカタラーゼ遺伝子破壊株を作成して同様な実験を行ったところ、C. glabrataカタラーゼ遺伝子破壊株はC. albicans破壊株に対して明らかに高い過酸化水素耐性を示した。これらの結果から、C. glabrataはC. albicansに比較して高い過酸化水素耐性を持っていること、またその耐性はカタラーゼ活性以外の要因によって付与されている可能性が示唆された。