日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-67
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IV. 皮膚真菌症
Voriconazoleが奏功したScedosporium apiospermum感染症の1例
*松本 由香大井 綱郎永井 彩子大山 文乾坪井 良治
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抄録

75歳男性。ネフローゼ症候群のため40年来、ステロイド、シクロスポリンを内服中。初診の約1週間前より右手背部に疼痛を伴う境界明瞭な鶏卵大の紅斑、膿疱が出現。発赤腫脹を伴い、徐々に前腕部に拡大したため、2006年2月に当科を初診した。右手背の皮疹部より生検した病理組織では、真皮内に多核巨細胞を混じた類上皮細胞肉芽腫を認めた。分離菌の遺伝子のクラスター解析と、膿の培養所見により、Scedosporium apiospermum(以下、S.apiospermum) と同定した。治療として,ketoconazoleの外用、 itoraconazoleや terbinafineの内服を5ヶ月間実施するも症状が改善しないため、voriconazole 400mg/dayを投与したところ、9日目には疼痛は軽快し、膿疱は消失、紅斑、びらんは軽快した。しかし,薬剤性肝機能障害を併発したためvoriconazoleを中止し,ketoconazoleの外用のみを継続したが、2ヵ月後の時点で皮疹は軽快し,菌陰性となった。S.apiospermum感染症は免疫能の低下した患者に生じる日和見感染症として報告例が増加している。文献的考察を加えて報告する。 (研究協力者:東京医科大学霞ヶ浦病院感染症科 大石毅)

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© 2007 日本医真菌学会
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