【目的】Candida, Aspergillus菌体から次亜塩素酸‐DMSO法によってβ-glucan(CSBG, ASBG)を調製し構造と活性を検討してきた.本発表では,白癬菌(Trichophyton rubrum)に本法を応用し,BGの調製を試みた.さらに本BGに対する抗体反応性を血清を用いて検討したので報告する.【方法・結果】Trichophyton rubrum NRBC 9185をYPG培地にて7日間27℃で振盪培養後,脱脂菌体を得た.この菌体を次亜塩素酸酸化し,不溶性細胞壁画分(OX-TR)を洗浄後乾燥し,BG画分(TSBG)を得た.この画分を13C-NMRを測定したところ,β-1,3 glucanとβ-1,6 glucanに特徴的なシグナルを検出できた.また,この画分を固相化抗原とし血清との反応性を競合ELISA法で検討したところ,CSBGとAgHWEでは類似した抑制を示し,ASBGとは異なっていた.【考察】血清中の抗BG抗体の反応性をCandida,Aspergillus, Saccharomycesなどの細胞壁BGや可溶性BGを用いて比較検討してきた.本研究の結果から,抗BG抗体はT. rubrum細胞壁由来 BGにも反応し,その力価には個体差が認められた.これらのことより,白癬症の病態にBGに対する特異的な免疫応答が関連している可能性も有り興味がもたれる.