【目的】β-グルカン(BG)は真菌の細胞壁を構成する多糖であり,白血球の活性化,および貪食能の促進,活性酸素種やnitric oxideの産生に加え,炎症性サイトカインの産生など様々な生理活性を示す.また真菌は喘息などのアレルギー症状を悪化させる因子として知られている.しかし,その悪化因子の実体については不明な点が多い.そこで本研究では悪化因子としてのBGの可能性を探るためIgE介在性の脱顆粒反応におけるBGの影響を検討した.【方法・結果】ラットの好塩基球細胞株RBL-2H3をCandida albicans由来可溶性BGであるCSBG と抗原共存下で刺激すると,BG受容体の一つと知られるCD11bの発現上昇が認められたが他のBG受容体であるDectin-1の発現は認められなかった.また抗原及びIgE共存下でCSBGは脱顆粒上昇を引き起こし,さらにはIL-4,TNF-α,Histidine decarboxylaseのmRNAの発現レベルを上昇させた.【考察】これらの結果からCSBGはCD11bの好塩基球の発現上昇を誘導し,脱顆粒,サイトカイン産生に関わるシグナル伝達の増幅,脱顆粒レベルの上昇,サイトカインの産生を誘導してI型アレルギー反応に関わっている可能性が示唆された.会員外共同研究者:佐草啓介