日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-44(SIII-2)
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III. 免疫と生化学
Aspergillus fumigatus処理による宿主転写因子AP-1活性化
*豊留 孝仁安達 禎之渡辺 哲落合 恵理大野 尚仁亀井 克彦
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抄録

Aspergillus fumigatusは環境中に存在し、ヒトは恒常的に分生子(無性胞子)を吸入している。ほとんどの健常人では菌体が速やかに生体防御機構により排除されるが、A. fumigatus認識・排除のメカニズムは十分には解明されていない。これまでにA. fumigatus菌体処理によりToll-like receptor (TLR) 2やTLR4を介してNF-κBが活性化されることが報告されているが他の転写因子については検討が行われてこなかった。我々は今回、A. fumigatus処理での宿主転写因子AP-1の活性化について解析を行った。樹状細胞株にA. fumigatus分生子を処理したところ、AP-1の活性化が観察された。更に6時間培養後の菌体が強くAP-1活性化を惹起し、β-グルカン抗体を用いた染色から6時間培養後A. fumigatus菌体表面にβ-グルカン構造が強く露出していることが明らかとなった。このことからβ-グルカン受容体dectin-1の関与について解析を行った結果、AP-1活性化がdectin-1依存的に惹起されることを確認した。また、Sykチロシンキナーゼに依存して、AP-1活性化が起きることも明らかとした。現在、TNF-α産生へのdectin-1/Syk/AP-1経路の関与について解析を進めており、この結果もあわせて報告する予定である。

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© 2007 日本医真菌学会
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