日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-94
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V. その他一般
Candida albicans MCD4遺伝子の特定とその機能解析
*梶原 将大浦 隆宏
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抄録

GPIアンカーはタンパク質が細胞膜に結合するために必要な物質であり、多くの生物の増殖や維持に必須である。GPIアンカー合成酵素の1つMannose-ethanolamine phosphotransferase遺伝子(MCD4)は、出芽酵母ではその欠損が致死となるが、哺乳類の細胞におけるMCD4相同遺伝子欠損は致命的なものではないことが報告されていることから、抗真菌剤の標的遺伝子となりうる可能性がある。そこで本研究では、出芽酵母と動物で基質特異性が異なるMCD4遺伝子に注目し、C. albicansのホモログ遺伝子を特定し、その酵素機能を確かめるとともに、C. albicansでのMCD4欠損の致死性等を解析した。出芽酵母のMCD4遺伝子と最も相同性が高いC. albicansorf19.5244を分離して出芽酵母mcd4株に導入した結果、この株の致死性を相補することが分かり、orf19.5244は出芽酵母MCD4と同等の機能を有するCa-MCD4遺伝子であることが示唆された。次に、マルトース誘導条件下で片方のMCD4のみを発現するC. albicans株等を作製し、発現抑制時における表現型を比較解析した。その結果、Ca-MCD4対立遺伝子の1つを破壊しただけでも増殖抑制がみられ、非誘導条件下ではより一層の増殖抑制が起きることが分かった。またCFWに感受性を示す等の形質も見られることから、Ca-MCD4C. albicansの増殖に必須の遺伝子であると考えられた。 [会員外共同研究者 岩波 昇(東工大院・生命理工)]

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© 2007 日本医真菌学会
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