日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第49回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-135
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千葉大学真菌医学研究センターに保存されている Coccidioides spp. の多種遺伝子配列に基づいた再同定
*佐野 文子宮治 誠亀井 克彦三上 襄西村 和子
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キーワード: Coccidioides spp.
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抄録

コクシジオイデス症は南北両アメリカ大陸の半砂漠地帯に限局して生息する Coccidioides spp. の感染によって起る風土病で,我が国では輸入真菌症として取り扱われている.原因菌は Fisher らの 2002 年にマイクロサテライトの多種遺伝子解析に基づいた分類により,アメリカ合衆国カリフォルニア地域に分布する遺伝子型を C. immitis,その他の地域に分布する遺伝子型を C. posadasii としているが,両菌種の遺伝子配列情報は特許事業等の影響によりほとんどが公開されていない.当センターはナショナルバイオリソースプロジェクトの病原真菌担当機関として,保存している本菌種を新しい分類基準に沿って再分類し,情報公開することが使命である.今回,19 株について deoxygenase (DO),serine proteinase (SP),chitinase (CT),urease (Ure),rRNA 遺伝子の ITS および D1/D2 領域の配列を決定し,多種遺伝子解析に基づいた再同定を行った.3 種の遺伝子 (DO,SP,CT) を組み合わせた解析に基づいて 5 株が C. immitis,14 株が C. posadasii と同定された.DO,SP,Ure 遺伝子の配列は単独でも上記の結果と整合性を得たものの,CT,ITS,D1/D2 遺伝子は一致しなかった.さらに,真菌の分類に用いられている rRNA 遺伝子は ITS,D1/D2 領域ともに種内相同性は 99% 以上であったことから,従来の遺伝子同定による分類基準により Coccidioides spp. を 2 菌種に分類することは不可能であった.

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© 2005 日本医真菌学会
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