2024 年 3 巻 1 号 p. 162-171
道路土工構造物の維持管理は,これまで,定期点検結果に基づく事後保全としての措置が一般的に主流であった.一方で,公共構造物の予防保全を考慮したライフサイクルコスト(LCC)縮減の取り組みが注目されている.しかしながら,土構造物における変状や劣化機構は十分に解明されておらず,時間軸を考慮した劣化予測等の維持管理に関する具体的な方法論は明確にはされていない.本研究では,道路土工構造物の予防保全を考慮した新しいアプローチと具体的な実践方法を提案する.その際,実務における実用性を考慮し,点検の高度化,劣化予測やLCC最適化の具体的な手法を提案している.さらに,環境条件の違いによる影響等を考慮した維持(延命措置)や部材性能の向上による改築(長寿命化)工事の有効性や妥当性に対する評価方法について提案している.