2023 年 4 巻 3 号 p. 725-732
固有振動数と変位比,複数の特徴量を用いた統合分析による橋の損傷部位特定手法を提案する.損傷部位が既知な場合,適切な特徴量を用いれば損傷検知は可能である.しかし実際には,事前に損傷部位を知りえないため,適切な特徴量の選択が困難である.本提案手法は損傷に対する感度が相補的な固有振動数と変位比を用い,事前情報がなくとも損傷部位の特定を可能とする.有限要素モデルアップデートの手法を用い,観測した特徴量から構造パラメータを推定することで損傷部位を特定する.提案手法を検証するため,代表的な損傷である支承不良と桁における亀裂を再現した模型橋を用い実験を行った.その結果,これら2つの損傷が同時に発生した場合を含む実験で再現した全ての損傷状態において,偽陽性なしに損傷部位を特定できることを示した.