東海北陸理学療法学術大会誌
第26回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-23
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立位訓練時におけるセラピストの立ち位置の調査
*加藤 英樹石川 康伸平井 達也
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抄録

【目的】 立位訓練を実施する際にセラピストが患者のどの位置に立つのかという理由はいくつか考えられる。今回、臨床で勤務しているセラピストに対して立位訓練時の立ち位置に関するアンケートを実施し、セラピストが日常的に立つ位置とその理由について調査したので報告する。
【方法】 セラピスト39名(臨床経験1年目から7年目までの理学療法士21名、作業療法士18名)に対して施行した。対象者には本研究の趣旨を説明し、同意を得た。右側に運動障害のある患者を上から見た図を作成し、患者を中心に左前を1番、前を2番、右前を3番というように右回りに1番から8番までの数字を振った。患者の立位能力は補助具なしの近位監視レベルと限定した。認知機能障害については考えないものとし、以下の質問を実施した。1、立位訓練時にどの位置に立つべきか。2、その位置に立つ理由はなぜか。3、aリスク管理、b機能面、c精神面、dその他の中で、その位置に立つ理由に近いものはどれか(複数回答可)。
【結果】 患者の右に立つと回答したものが51%、右前が18%、前と右後が13%、後が5%という結果となった。障害側である右前、右、右後に立つと答えたのは82%であった。その位置に立つ理由としてaが51%、abが18%、bが13%、acが8%、その他が10%という結果となった。障害側に立つと回答したセラピストが多く、その主な理由は転倒に対するリスク管理によるものが多数を占めていた。
【考察】 今回のアンケート内容では想定した患者像が漠然としていたため、立ち位置に若干ばらつきが生じたと考えられる。しかし、非障害側に立つと回答したセラピストは皆無であった。このことは日常的にセラピストが立位訓練時に障害側に立っており、主にリスク管理を考慮していることが示唆された。今後は患者の視点からも検討していく必要がある。

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