1932 年 52 巻 528 号 p. 535-546
三極眞空管の構造と電子振動發生強度との關係を調査し,強力振動を得んには陽極補極の直徑比は約2.5に採るべき事,陽極は圓筒板よりも目の細かき網になすべき事,補極は成るべく線細くピッチ細かき螺旋又は網にて作るべき事,排氣度は出來得る限り高度にするが無難なる事等の結論を得た。又振動勢力抽出回路たるレッヘル線は管の陽極補極間に接續すべきを示し,且つ其の平行線間隔は狹くするが宜しき事を提唱してゐる。更に進んで發振原理に論及し,電子振動發生の原因は補極外圍の空間電荷量が,補極に加へられた不完全飽和電壓の爲めに増減不安定なる状態に置かれる點に存するのであらうとの私見を述べた。