水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2014年度研究発表会
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【降水】
GPM/DPR 地上検証のためのビデオゾンデの地上設置による降水粒子連続観測
*宗近 夏美古田 尚悟鈴木 賢士中川 勝広金子 有紀沖 理子中村 健治
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p. 100083-

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抄録

 ビデオゾンデは雲内の降水粒子の映像を非接触で捉えることができる気象観測機器であり、これまで多くの観測に使用されてきた(Suzuki et al., 2014など)。本来ビデオゾンデは気球に取り付けて降水雲内に放球し、雲内の降水粒子を映像として捉えるものであるが、本研究ではビデオゾンデを地上設置して長期間の連続観測を実施した。液相と固相を映像として区別、分類できるビデオゾンデの特徴から、雨、みぞれ、雪といった異なる降水粒子のフェーズでどのような粒子が存在し、どのような時間変化をするのかを知ることとともに、係留気球用ビデオゾンデと二次元ビデオディスドロメータ(2DVD)等の雨滴計とのデータ比較を行い、ビデオゾンデで得られる降水粒子の空間データを定量的に評価することを本研究の目的とした。
 この観測は2013年11月より2014年3月に山形県蔵王山において実施されたGPM/DPRの地上検証の一部として実施された。観測場所は蔵王上野観測所横(山形県山形市蔵王上野南坂:海抜290m)で、観測期間は2013年11月から2014年3月までである。IOP-1(2013年11月-12月)では主として雨を、IOPの中断期間(2014年1月-2月)では雪を、IOP-2(2014年3月)では雨からみぞれ、雪への変化を狙って観測した。
 IOP-2期間中の2014年3月20日に得られた降雨データの一部を紹介する。3月20日は同時に係留気球観測(鈴木ら, 2014)を実施していた。地上気温は2.8℃~3.0℃で推移しており、完全な雨滴(液相)と雪片(固相)とともに融解途中の粒子も観測され、降水粒子の種類の割合は時間とともに変化していた。同じ時間に地上設置用ビデオゾンデと係留気球観測用ビデオゾンデで観測された分布を比較すると、粒径1mm以下の粒子の多くは直径の比が1:1の球形に近い形状になっていた。融解粒子については水平方向の粒径よりも鉛直方向の粒径の方が大きい傾向がみられた。乾いた雪片では水平方向に長軸をもつように落下することが多いが、融解することで密度差が生じ、落下の形態が変化したものと考えられる。

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© 2014 水文・水資源学会
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