日本林學會誌
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Rhus屬樹種の研究(第六報) ハゼノキの根の解剖殊にその樹脂道に就て
原田 盛重
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1935 年 17 巻 7 号 p. 499-503

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抄録

1. 極めて若き根の横斷面にありては4個の維管束が存在し、各靱皮部内には1個づゝの樹脂道を有せり。何れも莖の樹脂道と漣絡せるものにして。莖との境界部に於ても網状となることなく、維管束に並行に根の尖端部近くまで達せわ。
2. 稍々發育して側根を有するに至りたる根に於ても莖と異なり、大なる4個の樹脂道のみを有し、後期樹脂道は未だこれをみず。その側根にも主根の樹脂道と連絡ある4個の樹脂道ありて、主根中に於けると同様の走向をなせり。
3. 3~4年を經過せる根は皮層の舊生部に4~6個の樹脂道が略々等距離に配列し、皮層の薪生部には小なる樹脂道が10~20個略々1列、時には略々2列に殆ど圓状に配列し、その中、皮層の舊生部にある4~6個の大なる樹脂造のみ尖端部近くまで存するをみる。小なる側根内には4~5個の樹脂道あり、何れの根にありても尖端部になるに從ひて樹脂道は小となる。
4. 約50年を經過せる老木の根にありては皮層内に石細胞の多くの集團を所々に有す、直經6~10mmの根は皮層の舊生部及び新生部にある大小の樹脂道が不規則なる配列をなし、直径約2mmの例根にありては大なる6個の樹脂通は舊生部に規財正しく、小なる後期樹脂造は新生部に不規期に配列せり。直径0.1~0.5mmの小なる根にありては4~6個の樹脂道を有するも、後期樹脂造は認められず。
5. 若き根より老木の根に至るまで髓内の樹脂造及び厚膜靱繊維の集團は認められず。

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