主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第132回日本森林学会大会
回次: 132
開催地: 東京農工大学によるオンライン開催
開催日: 2021/03/19 - 2021/03/23
2011年の東日本大震災の津波により、東北地方沿岸部の海岸林は甚大な被害を受けた。これらの被災地では、クロマツを中心とした再生作業が進められている。しかし、一部の造林地では、排水不良による滞水の発生が課題となっている。本実験では、2年生クロマツ苗を用い、(1) 短期区(滞水7日間)、(2) 中期区(18日間)、(3) 長期区(32日間)の3つの滞水区と対照区(滞水無し)を設け、細根の形態、成長量と吸水機能(蒸散速度で推定)を調査した。長期区は7月末に滞水処理を開始し、その後、順次、中期区、短期区で処理を開始した(滞水処理=水位を地表面で維持)。8月末に全ての滞水処理を解除し、実験終了時の9月末まで、通常状態で生育させた。その結果、滞水解除後、短期区と中期区では比較的速やかに蒸散速度が対照区と有意差のない値まで まで回復し、既存の細根の吸水機能が回復可能な状態であることが示唆された。一方で、長期区では蒸散速度の回復にばらつきがあり、良く回復した個体では新たな細根成長が見られた。これらのことから滞水期間によって滞水解除の回復の応答は既存の細根または新たに成長した細根によるものであることが示唆された。