日本森林学会大会発表データベース
第132回日本森林学会大会
セッションID: P-007
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学術講演集原稿
ジビエ利用と獣肉処理場の捕獲個体受入基準の現状 -近畿地方を中心に-
*古賀 達也
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抄録

獣害の深刻化や生息域の拡大による捕獲への社会的要請によってシカ、イノシシの捕獲数は増加している。報酬や負担軽減を通じた狩猟者への支援、特産品開発による山村振興などの観点から捕獲個体は食資源化(ジビエ利用)することが望ましいが、利用率は約1割と低い。利用拡大に向けて様々な方策が考えられるが、獣肉処理場(以下、処理場)へ搬入する個体数を増やす必要がある。本報告は処理場の捕獲個体受入基準に着目し、利用拡大に向けた課題の整理を目的とする。調査対象として近畿地方の処理場3施設、他地方の処理場2施設を事例に取り上げ、受入基準とその背景にある処理場の意向を聞き取り調査から明らかにした。処理場は生体状態の確認や捕殺時の情報を正確に把握することで生産履歴を保証したいと考えており、処理場従業員による止め刺しが可能な罠猟の捕獲個体を優先的に受け入れていた。銃猟捕獲個体は処理場が生産履歴の保証を行えず、捕殺後迅速な処理場への搬入が困難なため、受入は限定的であった。今後の捕獲個体受入拡大に向けて、銃猟捕獲時の生産履歴の保証を図る仕組みの開発が必要と考えられた。

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