主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第132回日本森林学会大会
回次: 132
開催地: 東京農工大学によるオンライン開催
開催日: 2021/03/19 - 2021/03/23
樹木根の動態の解明は森林の炭素循環を理解する上で重要であるが、樹木根の分布は空間的に大きくばらつくため、正確な推定が難しい。スキャナー法は土壌断面を連続的に撮影し、画像内の根の長さや面積を解析することで根の動態を非破壊的に追跡する手法として近年よく用いられる。しかしながら、撮影する地点数が多すぎると画像解析に要する労力が大きくなってしまい、撮影地点数が少な過ぎると調査地の根の動態の代表性が得られない可能性がある。本研究では、スキャナー画像の取得地点数が根の動態の時間変動パターンの推定に与える影響を評価し、効率的なサンプリングデザインを提示することを目的とする。今回用いたスキャナー画像は、マレーシアのボルネオ島の熱帯雨林内5地点で、1地点あたり2面、毎月1回、約1年間撮影された時系列画像である。各画像(A4サイズ)から根の現存面積、成長または消失した面積を抽出し、全撮影面(10面)の各月の平均現存量、成長量、消失量と、撮影面数が10-n (n=1-9)のときの各月における全ての組み合わせの平均値との相関を求めた。その結果、撮影面が5面以上で時間変動パターンの推定に与える影響は少なくなることが示唆された。