日本森林学会大会発表データベース
第132回日本森林学会大会
セッションID: S2-2
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学術講演集原稿
木材の放射性セシウム汚染の実態:10年間の変化や特徴について
*大橋 伸太
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抄録

福島原発事故によって環境中に放出された放射性セシウム(137Cs)は、葉面吸収や経根吸収によって樹木内部にも移行した。137Csの直接汚染の影響が大きかった葉や枝などの部位では137Cs濃度は経時的に減少する傾向にあるが、樹木内部の転流や経根吸収の影響が大きい樹幹木部(幹材)では137Cs濃度が増加するケースも見られる。これは場合によっては木材利用の用途が制限される期間が当初の想定よりも長期化する可能性があること意味しているため、木材の137Cs汚染の実態把握と将来予測は重要な課題となっている。

本講演では、幹材中の137Cs濃度が原発事故後10年間でどのように変化してきたのか、また幹材中の137Csが放射方向・垂直方向・円周方向でどのように分布しているのかを報告し、幹材中の137Csの移行や濃度増加のプロセスについて考察する。また、将来の幹材の137Cs濃度を左右する経根吸収の多寡を決める要因の解明に向けた研究事例を紹介するとともに、今後取り組むべき課題について述べる。

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