日本森林学会大会発表データベース
第132回日本森林学会大会
セッションID: L10
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学術講演集原稿
マツノマダラカミキリの大量捕獲消長
*江崎 功二郎
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抄録

加賀市片野海岸マツ林にマツノマダラカミキリ誘引木を26本設置し、2年間(2019~20年)で1500頭以上の成虫をマダラスイープによって直接捕獲した。時間捕獲数は日没後から急増し21時にピークに達し、深夜2時には終息した。日捕獲数は6月上旬から始まり下旬にピークを示し、7月下旬から8月上旬に著しく減少した。捕獲期間を通してオスに偏り、特に誘引初期ほど高かった。また誘引初期の平均保持センチュウ数は1000頭以上に達し、高い伝搬力を持つ個体が出現した一方で、誘引後期にはほとんど保持しなかった。この捕獲消長に基づき、マツ材線虫病の塊状枯死木発生について以下のシナリオが導かれた。マツ材線虫病の罹病木がまだ発生しない誘引初期には、自然発生した枯死木や衰弱木に性成熟した成虫が飛来する。その木を中心に飛来した成虫によってエピセンターが形成される。そして、周囲の健全なマツにセンチュウが伝搬され、塊状枯死が発生する。一方、誘引後期は性成熟前の後食によってマツ材線虫病に罹病した枯死木に飛来するが、これらの成虫はセンチュウを保持しないため、周囲のマツへのセンチュウ伝搬がない。そのため、この枯死木は単木枯死木として林内に分布する。

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