主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第132回日本森林学会大会
回次: 132
開催地: 東京農工大学によるオンライン開催
開催日: 2021/03/19 - 2021/03/23
団粒構造は森林土壌の透水性などの物理性に大きく影響し、水源涵養機能の向上に寄与するとされているが、環境因子や人為的作用によって容易に破壊されるため、水源涵養機能の維持には森林土壌の保全に加え団粒の再生過程の解明が重要である。団粒再生に関しては室内培養による研究事例はあるが、野外での検討はまだほとんど行われていない。そこで野外条件下で団粒が回復するのかを明らかにすべく、ヒノキ人工林内で採取したA層の団粒試料とH層の腐植試料(ともに≦1mm)を異なる比率で混合させ(0%, 20%)、野外培養実験を行った。
培養開始から5週目、12週目、21週目に試料を回収して分析を行ったところ両条件、全期間において培養前より団粒百分率が増加した。しかし培養5週目では団粒百分率が増加したにもかかわらず粗孔隙率と飽和透水係数が減少した。これは試料回収日までの先行降雨量が多かったため、雨滴衝撃によって孔隙が潰されて透水性が下がったことが原因ではないかと考えられた。
今回の結果からは野外においても短期間で団粒が再形成されることが明らかとなったが、透水性を向上させるためには雨滴衝撃を防ぐことが重要であると推察された。