日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: S5-3
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学術講演集原稿
年輪から見える永久凍土上に生育する樹木の地下部発達過程と成長制限要因
*安江 恒大嶽 聡子兼松 真里衣三品 郁陽野口 享太郎森下 智陽城田 徹央Roger RuessJamie Hollingworth大澤 晃松浦 陽次郎
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抄録

永久凍土上に生育するブラックスプルース(Picea mariana)について,年輪年代学的手法を用いて,1)根の発達過程と土壌環境変化の関係,2)肥大成長と気候要素との関係を明らかにした。アラスカ州カリブーポーカークリーク長期生態観測サイト北東向き斜面にサイトを設定した。1)について,サイトにつき5個体から株部分を採取し,年輪幅測定と目視によるクロスデイティングを行い,側根の発生時期と発生位置の特定を行った。斜面下部では浅い側根ほど発生年代が新しく,時間の経過とともに発生位置は上昇していた。側根発生位置の上昇は,有機物層厚の増加とそれに伴う深部の地温低下に起因することが示唆された。斜面上部では上昇傾向は認められなかった。2)について,年輪幅クロノロジーを構築したうえで月気象観測値との単相関分析を行ったところ,幹の年輪幅と3-5月の気温との負の相関が認められた。土壌凍結期での気温上昇に伴う蒸散が水ストレスをもたらしていることが示唆された。これらの知見を元に,永久凍土上に成立する森林の成長制限要因について整理する。

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