主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第131回日本森林学会大会
回次: 131
開催地: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟・豊田講堂
開催日: 2020/03/27 - 2020/03/30
本研究の目的は、国民が森林に期待する役割を定量的に把握することである。森林環境税及び森林環境譲与税は、温室効果ガス排出削減や災害防止を目的とし、そのための森林整備などに必要となる財源を確保する観点から創設されたものである。その負担は国民に求めることから、森林環境譲与税の使途は国民の期待に沿ったものである必要がある。国民が森林に期待する役割は森林・林業白書に毎年掲載されているが、順位としての評価であり定量的評価ではない。本研究では、TEEBの定義に基づいて15種類の森林の役割を定義し、それらに対する支払意志額を部分プロファイル型の選択型実験によって把握した。山崩れや洪水などの災害を防止する働き、二酸化炭素を吸収することにより地球温暖化防止に貢献する働きといった役割は、白書同様に評価が高かったが、同時にその標準偏差も大きかった。つまり回答者ごとに評価が異なる傾向が強かった。住宅用建材や家具、紙などの原材料となる木材を生産する働きに対する支払意志額は、正であったが評価額は小さかった。また標準偏差が大きく、肯定的に評価する人もいれば、否定的に評価する人もいることが明らかとなった。