労働災害防止やコスト削減のために、フォワーダの自律走行による作業の無人化を目指している。そのために,森林作業道の切取のり面と一定の距離を保つことで自律走行する方法を考案した。本研究は,自律制御に必要な,目標となる測距値を明らかにすることを目的とする。ここでは特に,切取のり面の勾配と表面の土質が超音波距離センサの測距精度に与える影響について分析した。まず,センサからの入射波と対象面の法線とのなす角が18度以下であれば,測定距離125㎝までは,測定誤差は±10cm以内であった。ここから,のり面の勾配は,センサの取り付け角度を水平から下方に20度とすれば,88度から52度まで測定可能であると算出できた。また,表面の土質が土,礫混じりの土,岩,泥付き岩である切取のり面を対象に測距試験を行った。測定精度には表面土質の影響はあるものの,大きくはないことから,誤差の95%信頼区間に基づいて,想定したフォワーダが切取のり面に乗り上げることなく,また,森林作業道から外れることなく走行するための目標となる測距値を求めた。この結果,センサ取り付け高さ120cmの場合80cm,高さ55cmの場合50cmから85cmが目標値として得られた。