日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: J7
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学術講演集原稿
中国山地中部の森林小流域における降雨時の水文・水質応答
*芳賀 弘和勝山 正則尾坂 兼一
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抄録

中国山地中部の森林小流域における出水時の水文・水質応答について,高時間分解能(2-10分)を有する方法を用いて調べた。観測項目は,降雨量,地下水位,河川流量,河川水の硝酸態窒素(NO3-N)濃度,溶存有機炭素(DOC)濃度,および濁度であった。NO3-NとDOCについては,紫外可視分光法を原理とする水質センサ(multi::lyser,s::can)を自動採水で得た試料の分析データ(4時間間隔)で校正しながら用いた。出水時(総雨量112mm)において,流量と地下水位は比較的単純な時間変化(一山型)を示した。NO3-N濃度は,流量のピーク付近で最も高くなり,減衰時には降雨前よりも高い値で推移し,濁度との対応は不明瞭であった。他方,DOC濃度は,流量の上昇時に最も高く,減衰時には降雨前よりも低い値で推移し,濁度との対応が見られた。地下水位が十分に上昇していない出水前半では,河川水に対して河道降雨や河岸表層土壌水の寄与が大きかったのに対し,地下水位が大きく上昇した出水後半では,地中流の寄与が大きかったと推察された。降雨強度に対応して変化するような水の流出経路や起源の解析にとって,高時間分解能を有する水質センサの有用性は高いと判断された。

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