日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: I6
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学術講演集原稿
盛土上に植栽されたクロマツ実生苗の外生菌根の細胞外酵素活性
*山口 郷彬小長谷 啓介村上 尚徳成松 眞樹松田 陽介
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抄録

海岸の砂質土壌に生育するクロマツ細根の大部分には,養水分吸収に密接に関わる外生菌根(ECM)菌が定着し,その一部は土壌有機物を細胞外酵素により分解することで栄養獲得を行う.東日本大震災後,海岸林造成に際して山林土をはじめ様々な基材を用いた盛土上にクロマツ苗が植栽されたが,従来の多くの海岸林が成立する砂質土壌とは異なる盛土の土壌環境下でのECM菌の菌根共生と栄養獲得の実態は明らかにされていない.そこで本研究では,震災後に造成された海岸盛土に生息するECM菌の栄養獲得機能を明らかにするため,クロマツ苗におけるECMの形成状況と細胞外酵素活性を調べた.調査は宮城県大曲浜(大曲)と岩手県浪板海岸(浪板)と前浜地区(前浜)で行った.3ヵ所の盛土造成地のクロマツ苗と隣接する生残したクロマツ成木の根を採取し,実体顕微鏡下で菌根の色別の形成割合を算出した.一部の菌根は窒素やリン,炭素の獲得に関わる8種類の酵素活性を計測した後に,定着するECM菌のITS領域の塩基配列を決定して菌種を推定した.得られたデータをもとに,盛土材料の違いがECM菌の栄養獲得機能に与える影響について,菌種間や群集構造による違いを踏まえながら議論する.

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© 2020 日本森林学会
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