主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第131回日本森林学会大会
回次: 131
開催地: 名古屋大学東山キャンパス全学教育棟・豊田講堂
開催日: 2020/03/27 - 2020/03/30
フェニルアラニン-アンモニアリアーゼ(PAL)は芳香族代謝中の酵素であり、植物ではリグニンなどの細胞壁構成物質や、昆虫や病原菌への防御物質生成に重要な役割を果たしている。湛水などの低酸素環境下で植物の根はエネルギー不足となるため、ATP生産に直接寄与せず、またATPや酸素分子を消費する経路が多い芳香族代謝は抑制された方がエネルギー収支上よいと考えられる。しかし、長期的には芳香族代謝は生育に必須である。本研究では、低酸素ストレス耐性の異なる熱帯フトモモ科4種(Melaleuca cajuputiとEucalyptus camaldulensis、Syzygium cinereum、S. grande)を主な材料として、低酸素環境が熱帯樹木の根のPAL活性に与える影響を明らかにした。低酸素処理4日目には全ての種の低酸素区でPAL活性が低下したが、M. cajuputiでは処理後14日目にはPAL活性が回復しており、S. cinereumでも回復した個体が見られた。E. camaldulensisとS. grandeではPAL活性の低下は回復しなかった。低酸素ストレス耐性によらず低酸素環境下でPAL活性が低下するが、耐性の高いM. cajuputiとS. cinereumでは活性が回復することが分かった。