日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: G10
会議情報

学術講演集原稿
ジャスモン酸メチルの代謝能と樹脂道形成の関係性
*楠本 大カロリナ アンネ
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

樹木の樹脂滲出や傷害樹脂道形成には植物ホルモンのエチレンやジャスモン酸が関わっている。昨年度の日本森林学会大会では、我々は広葉樹3種にエスレル(ET)とジャスモン酸メチル(MJ)の処理を行い、ET処理によってのみ傷害樹脂道が形成されることを報告した。今年度、針葉樹のアカマツに同様の処理を行ったところ、ETとMJともに傷害樹脂道を誘導する結果となり、MJに対する反応が針葉樹と広葉樹で異なる可能性が示された。ジャスモン酸系の遺伝子応答は、MJが脱メチル化してジャスモン酸(JA)となり、さらにイソロイシンと結合してジャスモン酸イソロイシン結合体(JA-Ile)となることで活性を示す。針葉樹と広葉樹でのMJ応答の違いは、植物内でのMJ代謝に由来するのではないかと考え、MJ処理したアカマツとソメイヨシノの枝に含まれるJAとJA-Ileの含有量を測定した。その結果、アカマツでは処理後JAとJA-Ileとも増加したのに対し、ソメイヨシノではJAのみ増加し、JA-Ileは処理前後で変化しなかった。このことから、MJに対する反応性の違いは、MJをJA-Ileまで代謝する活性の違いが原因であると示唆された。

著者関連情報
© 2020 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top