日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: G7
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学術講演集原稿
ゲノム編集により花成抑制遺伝子を改変したポプラの諸特性
*西口 満宮澤 真一
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抄録

ゲノム編集は標的遺伝子のみを改変する技術として、動物、植物、微生物の遺伝子研究や品種改良に利用されている。一方、ゲノム編集技術を利用した遺伝子改変がどのような影響をもたらすかについては、科学的な側面と実用的な側面から関心が高く、様々な生物種で研究が進められている。本研究では、ゲノム編集によるポプラへの影響を明らかにするため、花成、成長特性、光合成、アミノ酸代謝、遺伝子発現の解析を行った。CRISPR/Cas9法で花成抑制遺伝子を破壊し機能欠損させたゲノム編集ポプラは、2016年に早期花成が観察され、その後、挿し木を繰り返しても3年以上早期花成の性質を維持していた。ゲノム編集ポプラの葉および茎の乾燥重量は普通のポプラよりも減少したが、これは早期花成により節間の短縮や葉の縮小が起こるためと推測された。ゲノム編集ポプラと普通のポプラの光合成能に差はなかった。葉中のアミノ酸含量については、ゲノム編集ポプラではグルタミン酸が多い傾向が見られた。他の遺伝子への影響として、ゲノム編集ポプラでは花芽分裂組織決定遺伝子の一つであるAPETALA1-2遺伝子の発現が高く、早期花成の引き金となっていることが示唆された。

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