近年,急速に導入が進んでいるコンテナ苗について,積雪に起因する各種被害の発生状況ならびにこうした被害が植栽木の初期成長に及ぼす影響を調査した。2014年11月に富山県内の3箇所にスギのコンテナ苗と裸苗を植栽した。その後2018年まで成長量および積雪による被害の発生状況について調査を行った。樹高成長率を苗種別に比較すると,2015年と2016年は裸苗の成長率がコンテナ苗を上回り,2017年には有意な差が認められず,2018年にはコンテナ苗の成長率が裸苗を上回った。積雪による植栽木の倒伏角度を測定したところ,2015~2017年にかけてコンテナ苗の倒伏角度が裸苗よりも大きくなる傾向があり,2018年には有意な差は認められなかった。苗種や倒伏角度が樹高成長に及ぼす影響を明らかにするため,樹高成長率を目的変数とし,苗種および倒伏角度を説明変数とする一般化線形混合モデルを用いて解析を行った。その結果,コンテナ苗は裸苗より生長が良いとする効果が認められ,倒伏角度は成長に対し負の効果を示した。多雪地帯では,コンテナ苗は裸苗よりも積雪による倒伏被害を受けやすく,これにより生育が抑制され,結果的に裸苗よりも成長面で劣ることが示された。