樹木から脱落した落葉などの有機物は、環境の変化に応じた土壌微生物による分解作用を受けて、分解呼吸として大気へのCO2放出そして溶脱として水とともに土壌へ炭素を流出する。そのため森林土壌においては、有機物の供給量と炭素の放出量(分解呼吸量)・流出量(溶脱量)のバランスによって、土壌炭素蓄積量が決定される。本研究では、落葉の分解呼吸量と溶脱量の季節変化と落葉炭素収支を評価することを目的とした。 京都府南部に位置する山城試験地(暖温帯林)において、優占樹種であるコナラ落葉を対象に、分解呼吸量の高頻度測定と林内雨・落葉層を通過した溶液の溶存有機炭素量の定期観測を行った(2018年1月~12月)。その結果、すべての測定項目(分解呼吸量・各種溶存有機炭素量)において、相対的に高温期で高く、低温期で低いといった季節変化を示した。年間の落葉炭素収支においては、落葉の供給量に対し分解呼吸量として約2割、溶脱量として数%の炭素が落葉から放出・流出していることが明らかとなった。