日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: A21
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学術講演集原稿
自然保護契約制度の内実と応用可能性
*堀 靖人
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抄録

一般的に森林の経済性と公益性はトレードオフの関係にある。どちらかに重点を置くともう一方が縮減されてしまう。そのため、経済性と公益性のバランスをとった森林経営に誘導する施策として、自然保護契約が注目される。これは、森林経営において環境に配慮することによって逓増した費用を地方公共団体などが助成する施策であり、ドイツにおいて実績のある施策である。日本においては、森林環境税・譲与税の導入、新たな森林管理システムがスタートすることになっており、林業政策も大きく変わる転換点を迎えている。ただし、それらの内容や税金の使途について現時点では明確ではない。 自然保護契約制度では、環境に配慮した施業が具体的に示され、それによって掛かり増しとなった費用が助成額の根拠となる。そのため、透明性の高い施策であるといえる。また、林業経営の継続を前提とした施策である。その意味では森林所有者の意欲を高める意義をもつと考えられる。自然保護契約の意義を検討することは、地方自治体の役割を重視し、意欲と能力のあるものに経営を委ねようとする日本での新たな森林管理システムを考える上でも有効である。

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