日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: L4
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学術講演集原稿
侵略的外来種による猛禽類群集の崩壊過程
*工藤 琢磨
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抄録

侵略的外来種マツノザイセンチュウはアカマツを枯死させるだけでなく、そこで営巣する猛禽類群集を減少させる。松枯れ被害地における猛禽類群集の崩壊・衰退過程を明らかにするために、被害地と未被害地のそれぞれに面積100平方キロの調査地を設定した。両方の調査地で、猛禽類の巣を探索し、営巣数を数えるとともに、営巣木と営巣林の状態を調べ、それらを比較した。2016年から2018年までの被害地と未被害地の営巣数を比較したところ、2016年は差がなく、2017、2018年はともに有意差があり、被害地でより少なかった。被害地で利用された営巣木の枯死率は、2016年から2018年までの間に、65%、52%、26%と減少し、対照的に生木率が増加した。一方で、未被害地での営巣木の枯死率は、期間を通して0%であった。被害地の営巣林の枯死率は、期間を通して差がなく、未被害地よりも有意に高かった。以上の結果から、被害地の罹患木の増加により、当初、生木だった営巣木が枯死木となり、それが朽ちて営巣できなくなると、再び生木へ営巣を切り替える行動を繰り返し、営巣数は徐々に減少すると推察される。

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