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第130回日本森林学会大会
セッションID: L2
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学術講演集原稿
ヒノキ採種園における樹幹注入剤によるチャバネアオカメムシの防除効果
*大橋 章博
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抄録

 スギ・ヒノキ採種園において、カメムシ類の吸汁により種子の発芽率が低下する被害が問題となっている。この対策として球果への袋かけが有効であるが、手間がかかることから最近では行われていないことが多い。そこで、ネオノコチノイド系殺虫剤(ジノテフラン)を採種園のヒノキに注入処理し、チャバネアオカメムシに対する防除効果について検討した。 試験は供試木を10本選び、各供試木から1枝を選び薬剤処理枝とし、2018年5月9日に薬剤を注入処理し、残りの枝を対照枝とした。これとは別に供試木を6本選び、このうち3本を薬剤処理木とし、6月6日に薬剤処理し、残りの3本を対照木とした。8月下旬に供試木から採取した球果にチャバネアオカメムシ2齢幼虫を10頭ずつ供試して、殺虫効果を調べた。また、2018年10月1日に供試木から球果を採取して、種子の発芽率を調査した。 その結果、対照木での死亡率が38%に対し、処理木では49%と顕著な差は認められなかった。一方、対照枝における死亡率が38%に対し、処理枝では87%と殺虫効果が認められた。また、発芽率は対照枝、対照木ともに15%であったのに対し、処理枝、処理木では58%、53%と高く、防除効果が認められた。

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