日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: J21
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学術講演集原稿
高密度観測データに基づく花崗岩山地の地下水水文過程に関する考察
*正岡 直也小杉 賢一朗藤本 将光
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抄録

山体の基岩地下水が水源涵養や崩壊に及ぼす影響が認知され、また近年は有効な観測手段が得られるようになり、今まさに様々な条件下での実証的研究が求められている。本研究では比較的小起伏の花崗岩山地において基岩地下水を高密度で直接観測することで、地下水の流動機構及び流域の水文過程への影響をより正確に把握することを目的とした。観測は滋賀県不動寺水文試験地内のF0流域(2.3 ha)で行った。流域内に基岩内ボーリング孔を全67箇所掘削し基岩地下水位を観測した。加えて、F0流域末端及び内部の8小流域末端に量水堰を設置し流量を観測した。地下水面形状は地表面地形の起伏とは対応せず、小流域界を跨いだ流れを示す水面勾配が恒常的にみられた。地下水流入が推察された小流域では基底流出量が安定して大きく、比流量も顕著に大きかった。ボーリングコアの風化度から推定したマトリックス透水性分布は、地下水面形状と対応していなかった。一方RQD値から亀裂分布を推定したところ、小流域間に跨った大亀裂帯を地下水が流れていることが示唆された。以上から、地下水流動及び流出量に対し基岩の透水性よりも亀裂分布が大きな影響を与えていることが示された。

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