主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第128回日本森林学会大会
回次: 128
開催地: 鹿児島県鹿児島市(主に鹿児島大学郡元キャンパス)
開催日: 2017/03/26 - 2017/03/29
オゾンは植物に対する毒性が高いガス状大気汚染物質であり、森林の樹木に対する悪影響が懸念されている。これまでに日本の樹木に対するオゾンの影響に関する実験的研究が行われ、成長低下や地上部と地下部の乾重量比(S/R比)の増加などが報告されてきた。本研究ではそれらの文献(合計27報、15樹種)を調査し、40 ppbを超えたオゾンの積算暴露量(AOT40)と成長低下率またはS/R比の変化率の関係を回帰分析によって解析した。カバノキ属、ブナ、スダジイ、カラマツおよびアカマツの成長は、AOT40の増加に伴って有意に低下した(回帰直線の傾きが有意だった)が、コナラ、ミズナラ、スギおよびヒノキでは有意な成長低下は認められなかった。一方、ブナ、コナラ、ミズナラおよびスダジイなどのブナ科の樹種においては、AOT40の増加に伴うS/R比の有意な増加が認められたが、カバノキ属、マツ科およびヒノキ科の樹種のS/R比に有意な影響は認められなかった。以上の結果より、S/R比に対するオゾンの影響における樹種間差異と乾物成長低下に対するオゾンの影響における樹種間差異は異なることが明らかになった。